細田 智香(伊那西高校2年・駒ヶ根市)
「アメリカで見たバリアフリー」
訪れた先々で、バスから見る街で、車いすに乗っている人を見かけた。見る頻度が日本にいる時より明らかに多い。1人で移動している人もいた。
アメリカにはADA(障害を持つアメリカ人法)という法律がある。公共施設は障害者が健常者と平等に利用できるよう環境を整えることが義務付けられている。この目で見て、バリアフリーの環境がものすごく整っていると感じた。
美術館、博物館、野球場―。どこも、サイン一つで車いすを借りられる。ホテルや多くの飲食店も含め、必ずスロープがある。
メトロポリタン美術館に来ていたフランス人女性(22)はけがをして車いすを使っていた。「アメリカでは、車いすを使うことで困ることはない。フランスとは比べものにならない。アメリカは、障害を持っている人を理解しようとする意識が高い」と話していた。
宿泊先で出会ったアメリカ人のロシャーン・バナムさん(32)は日本の米軍基地で働いている。「自分のもとで働く身体障害者はとてもつらそう。アメリカにいれば、もっと生活はしやすいはずだ」と語った。「アメリカは障害のある人をみんなが受け入れている。障害を重荷に感じずに暮らせる」とも言った。
日本では今年4月、障害者差別解消法が施行された。私がアメリカで見た光景が日本で見られるのは、一体いつになるのだろうか。日本でも、だれもが障害のある人を社会の一員として受け入れれば、障害は重荷にならないはずだ。障害がある人のことをもっと知ろうとして理解する。そして受け入れる。それは、今すぐ私たちができることだと思う。
「夏休みの過ごし方から見えるアメリカ」
アメリカの高校生は日本の普通の高校生より夏休みが長い。その上、宿題がない。そこで自然と湧いてくる疑問がある。「一体、何をして過ごしているのか」
ワシントンでの交流会で、ガールスカウトの女の子に尋ねた。多く返ってきた答えは「インターンシップをする」だった。インターンシップとは、自分の興味のある分野の団体、企業などで報酬なしで働くことだ。大統領選の民主党候補、ヒラリー・クリントン氏のバージニア州選挙事務所で出会ったグレースさんも学生インターンシップで選挙活動をしていた。
共同通信社ニューヨーク支局長の尾崎元さんよると、アメリカでは子どもも社会の一員として考えられている。6歳ぐらいになるとレモネードやクッキーを売っている子も多いという。家計のためではなく、あくまでも「あなたも社会の一員なんだから、お金を稼ぐのは当たり前でしょう」という考えからだそうだ。私たちが訪れた連邦議事堂でも、小学生くらいの子どもたちが働いていると聞いた。
幼い頃から「社会」を意識し、関わっていくアメリカ人。子どもたちが社会に高い関心を持つのは当然だ。鉛筆を持って、机に向かい、カリカリと問題を解くことだけが勉強ではない。若いうちから社会経験をし、社会の一員として生活していくことが、これからの日本には必要になるのかもしれない。インターンシップが当たり前になっているアメリカの社会が、うらやましいと思った。