一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

細貝 夏鈴 (信州大付属長野中学2年・長野市)

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〈若い世代が平和の発信を〉 
広島・長崎への原爆投下から70年の節目の今年、米ワシントンのアメリカン大学で、20年ぶりとなる原爆展が開催された。今回派遣記者として訪れ、取材することができた。
 「なぜ、米国人は日本への原爆投下を正当化するのか?」この派遣の中で一番の取材の柱を率直に聞いてみたいと考えていた。
 まず、原爆展に夫婦で訪れていたウォルター・シップさん(83)という男性に質問を投げかけた。すると、「戦争を終わらせるためには仕方がなかった。」と話した。友人のロレイン・フリーマンさん(85)は「二度と繰り返してはいけないことだが、失敗ではなかった」と、原爆の図を見ながら目に涙を浮かべてはいたが、やはり、正当化する返答だった。
 物事には両面性があり、正当化し得る人もいれば否定する人もいる。ただ、日本人なら誰でも、きのこ雲の下で起こった惨状を知っている。しかし、立場が逆に変わっただけで正当化してしまうのは、むなしさを感じた。
 また、今回の派遣で楽しみにしていた事の一つにガールスカウトとの交流があった。彼女たちとは、同世代ながらの話で盛り上がった。
 核拡散防止条約(NPT)再検討会議が決裂し、核軍縮会議が進まない今、若い世代の私たちが、国益にとらわれず、草の根的に関係を結び、平和を発信していけたらいいと思う。

〈テロを無くすためには〉
 9・11記念博物館を訪れ、自分の中にすごく嫌な感情が湧いた。それは、この場所でしか味わえないテロの痛みに直接触れたからだと思う。
 「テロリズムを終えるために、何をすべきか」という問いをもって取材に臨んだ。家族で訪れていたポーラ・コワサギさん(51)は、「若い人の共有を深めて、互いに文化の交流をすべきだ」と話した。
 展示物を真剣に見ていたジェイコブ・テッツァさん(20)は、「あの事件は防げたはず。当時、小学1年生だったが、どのテレビを見ても9・11のことばかり報道していたのを覚えている。とても辛いことだ」と、涙ながらに語った。
 崩れていくビルの写真や、当時の報道番組を見て、その場で立ち止まってしまった。私が生まれて約1カ月後に起こった9・11を、今まで以上に身近に感じとり、テロの恐怖を知ったからだ。
 集団的自衛権の行使を容認した日本も、テロの標的になり得る可能性がある。二度と9・11のような悲劇を繰り返さないよう、武力でなく対話で解決できる、平和な世の中になっていけばいいと思う。
 当時のイスラム過激派組織によるアメリカ中枢同時テロを知らない若い私たちが、もっと進んで自ら学び、知ることが大切だと感じた。それが、問いに対する私の答えだ。

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