一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

中川 泰成(伊那北高校2年・伊那市)

LinkIcon前へ‥‥次へLinkIcon

「アメリカのカウンセリング文化について」
アメリカはカウンセリング(精神医学に基づいた助言)の環境が整い、人々の姿勢もカウンセリング受診に対してオープンなイメージがあった。今回、いずれも成人の女性4人、男性3人の計7人にカウンセリング受診に対する考えを聞いた。
7人中6人は受診経験があった。また、女性2人に聞いたところ、自分の子どもにもカウンセリングを受けさせていた。35歳の女性は「娘には、私でもカウンセラーでもいいから、自分の感情を話すように教えている」と話す。「カウンセリングを受けることは、一般的だと思うか」という質問には、全員が「そう思う」と答えた。
「男性は感情を人に話すのが下手。世間体を気にしてカウンセリングをなかなか受けない」と言う女性が2人いた。しかし、私が取材した男性3人にそうした躊躇や後ろ向きの姿勢はなかった。28歳の男性は「男だから行かない、ということはない。悩んでいるなら行くべきだ」と語った。
 受診経験のある6人には、その理由も聞いた。母の死、元夫のDV(ドメスティックバイオレンス)といったつらい経験が挙がった。2児の母という女性は「いたずらをやめないから」という理由で子どもを受診させていた。
やはり、アメリカではカウンセリングを受けることが決して特別なことではないと分かった。近くにクリニックがあるといった環境が一番の理由だろう。
日本はアメリカに比べ自殺率が高い。日本も、気楽にカウンセリングへ赴ける環境整備、雰囲気づくりが必要だ。

「アメリカで改めた原爆投下への思い」
今回の旅で、何度も平和について考えさせられた。
アメリカに到着してまず、国立航空宇宙博物館を見学した。第2次世界大戦当時の旧日本軍とアメリカ軍の戦闘機が展示されていた。その中に、広島に原爆を投下したB29爆撃機「エノラゲイ」があった。日本の戦闘機に比べはるかに大きく、輝く機体。ガイドの方が「日本の兵士はこの機体を見た瞬間に敗戦を悟った」と説明してくれた。
国連本部の見学コースには、原爆投下で全壊した長崎の浦上天主堂から見つかった「聖アグネス像」が展示されていた。焼け焦げた石像の背中は原爆の威力を物語り、その表情は悲しげに見えた。
9・11トリビュートセンターには、広島で被爆して12歳で亡くなった佐々木禎子さんの折り鶴が展示されていた。広島市の平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデルである禎子さんが病床で折った千羽鶴。同じ悲劇を繰り返さないという願いをこめ、貞子さんのお兄さんが寄贈した。
原爆を投下し、国民の多くが「正当な攻撃だった」と捉えてきたというアメリカ。過去の出来事について考え、日本、アメリカ間の平和へ課題を考えた。

LinkIcon前へ‥‥次へLinkIcon