高橋 雄基(信大付属松本中3年・松本市)
<環境問題 意識の高さ感じた>
環境問題に対して、米国で暮らす人々がどんな「意識」を持ち、どんな「行動」をしているかを取材した。質問した18人中、16人が環境を考えて何らかの行動をしていた。
複数回答を含めると、具体的な行動では「リサイクル品を使う」と「使い捨てプラスチック製品を使わない」がそれぞれ10人で、最も多かった。「車をなるべく使わない」「オーガニック製品を使う」などの回答も目立った。
「僕は牛肉をここ1年間食べていない」と熱心に語ったのは共同通信ワシントン支局助手のブレンダン・ケリーさん。重さ1キロの牛肉を育てるのに、車で100キロの距離を走るのとほぼ同じ量の温室効果ガスを排出する―という試算があることを教えてくれた。
ペンシルベニア州の主婦、ジョイさん(35)は、使い捨てプラスチック製品について「以前より手に入りにくくなってきているから、使わない人が多いのではないか」と答えた。社会の流れで、提供しない店が増えてきていると指摘した。
ニューヨーク州は、来年3月からプラスチック製のレジ袋を禁止する法律を定めた。米国滞在中、多くの場所で買い物をしたが、紙袋しかもらわなかったことを思い出した。
環境問題への意識では、別の側面もあるようだ。共同通信ニューヨーク支局の記者、古瀬敬之さんは「日本にいた時よりも電気や水をたくさん使ってしまう」と話してくれた。
米国は資源が豊富なため、光熱費が安い。そのため、資源の節約を意識しない人が多いのだという。僕の取材でも、環境を考えた行動として、節電や節水を挙げた人は一人もいなかった。
取材全体としては、質問内容以上に熱心に語ってくれる人が多く、環境問題に対する意識の高さを感じた。
<取材テーマや質問 準備不足>
5層からなる船に数百人があおむけで積まれていた。一層の高さは1㍍にも満たない。国立アフリカ系米国人歴史文化博物館に奴隷船の模型が置かれていた。かつては、このようにアフリカの人たちが奴隷としてアメリカに運ばれていた。奴隷制がひどいものだとは知っていたが、こんなにもむごい扱いを受けていたとは想像もできなかった。
もちろん僕たちが見たものはこれだけではない。僕たちは今回のアメリカ派遣でたくさんのことを見て学んだ。失敗から学んだこともあった。
僕たち学生記者は二つ取材テーマを決め、それを取材する。僕のテーマは「環境問題に対する意識」と「スマホの利用の仕方」だ。前者の取材は順調に進み、いい記事が書けた一方で、後者の取材は満足にできなかった。
取材を始めたのはワシントンDCのリンカーン記念堂前だった。環境問題に対する意識の取材と並行して、スマホについて取材を進めた。リンカーン記念堂、スミソニアン博物館、国立アフリカ系アメリカ人博物館…。順調に取材が進んでいた3日目の夜、その結果をまとめるのが難しいことに気づいた。
「1日にどのくらいスマホを利用していますか」「スマホ上で、主に何をしていますか」など、幅広く質問していた。答えがさまざまで、多くの人に取材しないと、何らかの傾向をまとめにくいものばかりだった。
渡米前にテーマや質問を吟味していれば気づけたことだった。おそらく二度と経験できない貴重な機会での準備不足で、後悔しかない。この失敗を教訓として、今後に生かしていきたい。