一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

今井 真奈美 (須坂高校2年・中野市)

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<相互理解もテロ対策に>

 米国で、厳しい荷物検査や大勢の警備員などに出くわした。テロ対策だ。東京五輪開催を控える日本を思った。今やいつ、世界のどこで起こるか分からないテロについて取材した。
 2001年米中枢同時テロについて聞いた。当時を知る多くの人が「砂ぼこりを舞い上げ崩れるビル、無差別に多くの命が奪われた瞬間を思い出す」と硬い表情で語った。
 9・11記念博物館の近くで、牧師のハンツ・ホーランバックさん(83)に聞いた。当日、ニューヨークの自宅でテロの様子をテレビで見て、ひどく感情的になったという。だが、「今ではテロリストを恨んではいない」と話した。彼はゆっくりと静かに「米国はいつでも他国に優しくしてきたわけではなかった」と続け、牧師の立場からは「信仰の対象が違っても私たちは皆、人間である」と話した。
 テロをなくすために、世界の子どもたちへの教育の大切さを指摘する声もあった。テロの背景には、政治や宗教、貧困などさまざまな要因がある。解決への基盤になるのは相互理解だと気付かされた。


<ボランティア 幅広い世代で>

 「自分がやった方がいいと感じたことは絶対に実行すべきだ。それが自分以外の誰かのためなら、もっとやってみる価値がある」13歳の少女、サラ・ボールズさんのボランティアに対する強い言葉が、私の心に響いた。
 彼女はガールスカウトとして、日常的に奉仕活動をしている。アメリカではボーイスカウトが約360万人、ガールスカウトが約260万人いるという。
 アメリカはボランティアに積極的な国だ。国立自然史博物館でインフォメーションセンターのスタッフとして働く年配の女性、マージェリー・フィッシャーさんに聞いた。「自分は元々、自然史が好きで、訪れる人に展示物について教えられるのがうれしいし、自分自身も学ぶことができる」と話してくれた。博物館の近所の住民が、退職してからボランティアをすることが多いという。
 分かったことは、子どもたちから年配の人まで幅広い世代がボランティアに携わっているということだ。そして彼らは人を助けることに誇りを持ち、それが自分の利益になるとも考えている。そんな素晴らしい文化がアメリカには息づいている。

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