冨永 奈歩 (中川中学3年・中川村)
<働きやすい環境へ課題>
女性解放運動が行われた歴史がある米国は、誰もが性別に関わらず生き生きと働けると考えていた。しかし、「米国は女性が働きやすい環境か」と質問した私に、女性は全員「ノー」と答えた。
リンカーン記念堂で黒人女性2人に聞いた。サウスカロライナ州の医師ティファニーさんは「米国には、女性は男性より働けないという先入観がある」と話す。そうした環境下で、女性の働く意欲が低いとも指摘。「全ての人が同等に働けるという考えを持つことが大切だ」と訴えた。
ホワイトハウス前で、大学教員の女性は「『ガラスの天井』を壊すべきだ」と言った。女性が頑張っても見えない天井があり、それ以上は上に行けないという意味だ。「ヒラリー・クリントン氏が大統領になっていたら変わっていたかもしれない」とも語った。
女性の「ノー」には、差別や貧困といった負の連鎖を感じた。男性からは「女性は責任の大きな仕事で男性を頼る傾向がある」(ドイツ人の技術者)という声を聞いた。女性にも、現状を変えようと行動する意識が必要だと思う。
<授業で多い議論の時間>
「あなたはどう思いますか?」自分へ求められた問いに素直に意見を述べられるだろうか。気付かぬうちに周囲の人とあまり相違しないよう、合わせてはいないだろうか。米国の同世代の子たちとの会話から、単に問いへの答えにとどまらず、自分の経験や考えを合わせ、より濃い内容を答えてくれることに気付いた。
ボーイスカウト、ガールスカウトとの交流会で同世代と話す機会があった。私は作文に書いた「日本の10代に自殺が多いこと」を話し、どう思うか聞いた。レイチェルさん(14)は「自殺は誰であっても悲しい」と話した後、「自殺は米国でもあるが、相談するカウンセラーがいる」と説明。ライリーさん(12)も「みんなで話を聞くなど助け合っている」と紹介してくれた。このように、背景までしっかり話せるのは、学校の授業で議論することが多いからだという。
リンカーン記念堂で声をかけた若い女性教師は「私の授業では毎日必ず、生徒がディベートや議論をするようにしている」と話してくれた。生徒同士で日常的に意見を重ね合い議論することで、相互理解が深まり、自分の明確な意志を発信する力が培われていると感じた。