一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

小林 愛実(諏訪清陵高校2年・茅野市)

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「投票率を上げるために」
 日本では今年、選挙権年齢が18歳に引き下げられた。いくつか指摘された課題の中で、私は投票率の低さが問題だと感じた。アメリカは大統領選の真っただ中であり、18歳選挙権先進国。投票率アップのヒントを得たいと取材をした。
 私たちが訪れたワシントンとニューヨークでは、投票を呼び掛ける大きな看板をあちこちで見た。だが、各種選挙の投票率は日本と同等かそれ以下だと、複数の人が指摘した。アメリカでは投票資格を得るために事前登録が必要だが、18歳、19歳といった若者の登録数も少ないという。共同通信社の木下英臣ワシントン支局長は「アメリカは移民の国だから、選挙人登録をしていない人が多い」と話す。選挙、政治に対して自主的、積極的というイメージがあったので、意外だった。
 では、どのように投票者数を増やす努力をしているのか。木下支局長は「主には、移住してきた人々に登録を呼び掛けている」と説明する。大統領選の民主党候補クリントン氏のバージニア州選挙事務所でボランティアをするグレースさん(21)も「登録、投票をしてもらうために、通年で戸別訪問、電話などをしている。大学内でも呼び掛ける。ツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も駆使している」と話した。
 私たち学生には学校という場があり、SNSは日頃から使っている。戸別訪問やSNSの利用、学校内での活動については、日本ではできないことも多い。リスクを考えるばかりでなく、有効利用することが大切だと思った。
 「有権者にとって最も大事なことは何か」。私は取材した人にこう尋ねてきた。ワシントンで会った日本政治アナリストのトバイアス・ハリスさんは「投票することだよ」と言った。より多くの若者が投票するために、私たちにできることを考え、行動することが大切だと思う。

「教育で争いをなくす」
 9・11トリビュートセンターを訪れた。9・11米中枢同時テロの悲劇を忘れないための施設だ。焼けた鉄骨や飛行機の一部、犠牲者の遺品などが展示されていた。テロの傷痕は生々しく、目を覆いたくなるものだった。戦いを起こしてはいけない。心からそう思った。
 戦争やテロをなくというのは、途方もなく大きな問題だ。解決のためには、一体何が必要なのだろうか。
 9・11で夫を亡くし、センターでボランティアをしているアン・バンハインさんは「お互いを理解すること、違う考えの人がいることを学ぶことが大切」と話した。また、「自分の信念に従って生きることを学ぶことが大切だ。しかし、自分の信念に従って人を殺してはいけない」と言い、それには教育が必要だと訴えた。
 私はアンさんの話を聞き、アメリカに渡る直前に教えられたことを思い出した。「戦争というものは、歴史を十分に学んでいれば起こらない。その結果は全て等しく悲惨なものだから」という言葉だ。テロや戦争をなくすための教育。あらためてその重要性を感じた。
 ISに関連するテロが続いている。私たちは正しい教育をして、争いをなくさなくてはいけないと思う。

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