堀 尚裕(長野工業高専1年・南木曽町)
「“LGBT”と共に生きる」
LGBTという言葉を知っているだろうか。性的少数者(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)のことだ。
アメリカでLGBTの方への差別的な事件が起きていることは耳にする。しかし今回、ワシントンやニューヨークで私が取材した人は、口をそろえて「私たちは普通の人と同じように彼らを尊敬している」と言った。なぜ反対意見に出合わないのか。共同通信社ニューヨーク支局長の尾崎元さんはこう分析した。「都市部の市民は多様性を認めているから差別は行われにくい。逆に言えば、アメリカ南部や中部で差別や事件が起こっている。また、世界規模で見たとき中東やアフリカそしてアジアではまだまだ差別が行われている」
ニューヨークでは、ゲイバーを経営するジョン・ブレアさん(65)に取材する機会を得た。彼は「差別は『加害者が無知であること』が唯一無二の原因だ」と言い切った。つまり、同じ環境にいないことが彼らに対する偏見を生み、差別が行われるというわけだ。
ジョンさんは「多民族や多文化、LGBTも、互いに認め合って共生できる人間を育成する教育が子どもたちには必要だ」とも語った。私もその通りだと思う。私は以前からLGBTに興味があったので彼らのことを理解していると思っていた。だがアメリカで取材して、私も今まで「自分と彼らは違う」との思いがあったと気付いた。偏見で彼らを見ていたと実感した。
今、私は自分がゲイになったとしても特別おかしいことだと思わない。ただ、多くの日本人はLGBTに偏見を持っていると思う。LGBTの方も私たちと同じように好きになった人を愛しているだけである。すなわち“Love is Love.(愛は愛)”であることを理解してほしい。
「SNSの力」
アメリカでの取材活動を通じて、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の力を感じた。
SNSは、インターネットを通じたサービスで、どんな地域に住んでいる人とでも連絡を取り合えたり、社会に意見を発信できたりできる。
私がアメリカで、SNSがその役割を発揮していると感じたのは「政治」だ。ヒラリー・クリントン氏のバージニア州選挙事務所では、スタッフが「TwitterやFacebookのハッシュタグ(#~)を利用した応援方法がある」と語った。ハッシュタグは、同じテーマの投稿に付ける目印、と言えばいいだろうか。そのテーマに興味のある人が投稿をすぐに見つけられる仕組みは便利だ。また、選挙活動にメディアを使用するのは発信の効率化も図れる。
出会いを出会いのままにしないのも、SNSの持つ力ではないだろうか。今回の派遣で、多くの出会いがあった。私は、同世代のボーイスカウト、現地の日本人、自分の取材に応じてくださった方と、今もSNSでつながりを持っている。「もう一度問いたい!」そう思った時、すぐに彼らに聞くことができるのは幸せなことだ。また、彼らの友人とSNSで新しくつながることも可能なのだ。
SNSは多くの人が利用しており、日々問題も起こっている。しかし、それらの問題はSNS自体が引き起こすものではなく、SNSを扱う人々の側、使い方に原因があることを忘れないでほしい。SNSを正しく利用できることが、現代人に求められている。