永井 優(野沢北高校1年・佐久市)
「医療制度の改善でどの人にも光を」
あなたが日本で救急車を呼ぶとする。お金を払うとは考えないだろう。だがアメリカでは、一部の地域を除いてお金を払わなければならない。
私は有料の救急車に違和感を覚えていた。しかし、ワシントンで取材したジャーナリストの80代男性は「お金を払うのは仕方がないことだ。日本と違い、アメリカは病院が全て私営だから、自分たちで収入を増やさないといけないからね」と言った。
取材するうちに、より大きな問題が起きていることが分かった。「経済格差の影響が、受けられる治療にまで出てきている」と複数の人が指摘した。アメリカには日本のような医療保障制度がない。十分な医療を受けられるのは裕福な人々に限られるという。在米日本大使館でスピーチライターだったジョン・トベさん(55)は「医療費をもう少し安くし、誰もが格差なく治療を受けられるようにしてほしい」と願う。
アメリカには世界最新の医療技術があるのに、その恩恵を受けている人があまりにも少ないことを知った。たとえ貧富の差があっても、全ての人が十分な治療を受けられるような政策を考えていくべきだ。命の大切さを深く考え、平等な一つ一つの命と向き合っていく社会をつくっていかなければならない。
「米国大統領に求めること」
アメリカは今、4年に1度の大統領選挙を迎え、世界中から注目されている。クリントン氏とトランプ氏、どちらが大統領になると思うかを、ワシントンとニューヨークで計20人に尋ねた。85%(17人)がクリントン氏、15%(3人)がトランプ氏を挙げた。
ボランティアでクリントン氏の選挙活動をしている女性(21)は「クリントン氏は国民のことを考えてくれている。だからアメリカを一つにまとめ、雇用が増えると思う」と言った。レストランで働く40代男性はどちらの支持者でもないが、「トランプ氏は実業家だがクリントン氏は政治家。今までのキャリアがある。だからクリントン氏が大統領になるだろう」とみていた。
支持する候補も聞いた。政治に興味があると答えた人は皆、クリントン氏を支持していた。トランプ氏と答えた人は若い人が多く、支持理由が「何となく」と具体的でない。トランプ氏の特徴的な演説に影響されたのだろうか。そして、「どちらも好きではない」と答える人が目立った。