一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

山本 優菜(仁科台中学2年・大町市)

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「枠を越えた受信と送信」
 1冊のノートとフェルトペンを手に、取材をした。質問は「日本について何を知っている?」。そして、さらなる言葉を求めてペンを差し出した。1人1ページ、ノートに日本に向けたメッセージを書いてもらったのだ。
 15のメッセージが集まった。「いつか日本に行きたいよ」「オリンピックを楽しみにしている」「これからもおいしい食べ物を送り続けて」などさまざまだ。その人の思いが紙面からわき出てくるかのように詰まっている。内容はもちろん、字の太さや大きさ、表現の全てに、その人の個性がにじみ出ているようだ。
 このプロジェクトを通して、さらに取材も踏まえて感じたことは、「思いも考えも十人十色」ということだ。取材した全ての人が同じように日本を知っているわけではないし、全ての人に共通する言葉もなかった。
1人1人のメッセージ、つまり思いや考えは世界に一つしかない。思いや考えがメッセージになるには、「送信(伝える)」して、「受信(認める)」することが必要だ。
世界貿易センタービル跡地で出会ったショーンさんは「また君のような学生が来てくれることを待っているよ。私たちは両手を広げて歓迎する」とノートに記してくれた。このメッセージには、「受信」と「送信」があると感じた。「待っている」という言葉で、ショーンさんの気持ちが伝わった。そして「歓迎する」で、私たち日本人を受け止めてくれていることを感じたのだ。
きっと、戦争やテロが起きてしまうのは、送信と受信が不十分なせいだろう。国という枠を越え、送信と受信が十分に行われることが大切なのだろうと考える。

「知ること、差し伸べること、継ぐこと」
 アメリカで、2001年9月11日に起きた惨事を知らない人はいないだろう。米中枢同時多発テロが起きた日だ。今の日本ではどうだろう。9月11日が何の日か、答えられない人が少なからずいると思う。
 このテロで夫を失ったアン・バンハインさんに話を聞いた。「テロはもちろんなくすことができたらいい。全ての人が平和の中で生きる権利がある」。そう話してくれた。アンさんは、後世にこの惨事を伝えるため、ボランティアをしている。
私はアンさんに、「日本人に一番伝えたいこと」を書いてほしいとお願いした。ノートには、太く大きく「私たちは平和の中で生きている。だけど、大切なことは次世代に伝えていく必要があるね」と書かれている。テロに対する、平和に対する、次世代に対するアンさんの強い思いが伝わってきた。
私たちにできることは何だろうか。アンさんは「テロの後、多くの手紙が届いた。これらは私の大きな支えとなった。何か起きた時に、自分に何ができるのかを考えてみて。復興は助け合いなのだから」とも話していた。
何らかの事件や災害が起きたら、まずは知ることが大切だと思う。そして、自分にできる「復興の手」を差し伸べること、次の世代へ伝え、つなげていくことが、平和の中で生きる私たちの使命だと考える。

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