一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

小林 思音(豊科北中学3年・安曇野市)

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「テロと向き合う」
 「テロをなくすことは可能なのか」。9・11米中枢同時テロで夫のブルースさんを失ったアン・バンハインさんはこの問いに、「なくすことができたらいい。それには教育が必要。肌や目の色で差別することは間違っている。自分の信念に従うと言って相手の命を奪ってはいけない」と答えてくれた。
 私はその時まで、自分がほかの命を奪うこともあり得るという可能性を全く考えていなかった。自分の考えで人を殺すことは絶対に間違った行為だと教えてもらった。「テロで失うものは命。それは誰かの娘、息子、友達であり、大切な人。一つの命でも損失は計り知れない」と語ってくれたのも印象的だった。多すぎる犠牲者を出した9・11がいかに大変な事件だったか、この言葉で身に染みた。
 今、世界のどこにいても、テロの危険性がある。日本では危機感が薄いと思うが、実際に起きていて、しかも増加している。テロはなくすことが可能なのか。たくさんの意見を聞いた今でも、私には分からない。でも、テロリストは世界の何が気に入らず、何を望んでいるのか。私たちは常に考え続けるべきだと思う。完全になくすことができなくても、考え続けて、なくす努力をすることを諦めてはならない。
多くの命を奪っても、目指すものは得られない。それを彼らに知らしめたい。

「アメリカの政治」
 今年の秋、アメリカでは国の未来を決める大統領選挙がある。日本では国のトップを直接国民が決めることはないが、アメリカでは国民が決める。国民はどのようなことを期待して大統領を選ぶのか、そもそも政治に関心があるのか、と疑問に思い、取材した。
 「今アメリカがやるべきことは、貧困の差をなくすこと」。米中枢同時テロで崩壊した世界貿易センタービル跡地で取材に応じてくれた60代男性はそう答えた。銃社会であるアメリカには物騒なイメージはあったが、貧困という印象は持っていなかったので、意外だった。交流会で出会ったガールスカウトの10代女性は、まだ選挙権を持っていない。「やはりテロが心配。だからテロ対策をすべきだ」と語った。
 取材をして驚いたことがある。同じ意見がほとんどなかったことだ。10代の若者から70代くらいの高齢者まで10人近くの意見を聞いた。貧困とテロだけでなく、生活問題、人種差別、銃規制などさまざまな問題が挙げられた。そして、全員が真剣に考えて答えてくれたことが新鮮だった。仮に私がこの質問に答える立場だったらどうだろう。彼らのように、自分の意見を言うことができるだろうか。
 多様な人種、多様な地域、多様な文化を持つアメリカ合衆国の大統領選挙。多くの人たちのそれぞれの主張を、候補者たちはどう受け止め、どういった政策を考えるのか。この秋の選挙に注目したい。

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