一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

塚田 彩音(長野吉田高2年・長野市)

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<銃社会…厳しい所持品検査>

 ワシントンDCに到着した7月28日、カリフォルニア州で3人が犠牲になる銃乱射事件があって驚いた。米国では銃乱射事件で、多くの命が失われている。銃規制の賛否について18人に聞いた。銃規制に賛成が14人、反対が1人、どちらとも言えないが3人だった。
 フロリダ州に住むグレッグさん(57)は米陸軍で働いていた経験から「一般市民が銃を持つことには反対だ」と答えた。軍では、銃の取り扱いや使う場面を想定した訓練をする。「厳しい訓練を積んだ人が銃を使うべきで、市民の悪用はあってはならない」と話す。
 米議会下院管理委員会スタッフのジェン・ドールビーさんは「地方では警官が来るのに時間がかかる。自衛のために銃は必要だと思う。でも中学生の母親として、学校で銃乱射事件が起きると胸が痛む。一概に規制の賛否は言えない」と複雑な思いを話した。
 銃規制に反対したマークさん(49)の職業はハンター。「合衆国憲法で銃所持は認められている。銃がなければ仕事も生活も成り立たない」と言う。「建国の歴史から考えると、規制は不可能ではないか。銃を悪用する人が悪い」と訴えた。
 自分の取材では、銃規制について賛成する人が多数だったが、米国ではなかなか規制が進まないのが現状だ。「市民の銃所持は憲法が保障している権利」という考え方が根深いのだと思う。
 米国で公共施設に入る時にはいつも、所持品を検査したり、ゲートをくぐったりする厳しいチェックがあった。銃の危険と隣り合わせで暮らす米国に比べ、銃が規制されている日本は安心して生活できる、と改めて実感した。


<「静かないじめ」広がるとの声>

 アメリカでいじめの問題を取材した。アメリカにもいじめがあり、最近はSNS(会員制交流サイト)を通じた「静かないじめ」が増えているようだと知った。
 マサチューセッツ州の小学校教師、ブリッドリーさん(27)はアフリカ系米国人。学生時代に髪と肌のことでいじめられたという。「自分に自信があったので、聞こえないふりをして過ごした。今は学校でいじめを見たら、その場で止めてすぐに話し合い、解決することが学校のルールになっている」と話した。
 ワシントンDC在住で社会人1年目のマイルズ・モナコさん(21)は「高校生の弟がいじめにあっている。学校に対応を頼んだが、どうしようもできないと言われ、怒りが止まらない」と教えてくれた。
 ワシントンDCの小学校の体育教師、マイクさん(44)は「この5、6年でいじめは深刻な問題となっている。昔は暴力によるいじめが中心だった。今はスマホの普及で、SNSを通じた静かないじめが多くなっている」という。
 SNSを使ったいじめは、日本でも増えていると聞く。この問題に対しては、教師だけでなく、社会全体で考えることが必要だ。

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