一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

牛山 祐樹 (都市大塩尻高校2年・松本市)

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<「差別是正措置」は必要>

 アファーマティブ・アクション(AA)。雇用や教育で黒人や女性などに特別枠を設ける積極的差別是正措置のことだ。一定の成果を上げた一方、「逆差別だ」との声もある。私は、AAがこれからも必要かどうか取材した。
 「白人に比べ黒人にはチャンスが少ない。これからも必要」と答える人が多かった。中学教師のD・ウィットナーさん(33)はその一人。黒人で女性だ。「(どんな制度も)完璧なものはない。逆差別の例も起きるかもしれないが、黒人や女性が上を目指すきっかけになる」と話した。
 白人のワンダ・ビトナーさん(55)は、息子が役所の採用試験で黒人が優先されたために落ちてしまったと言う。「なくすべきだ」と主張した。
 キット・マコーリフさん(28)が通う大学院は白人男性が多い。黒人はまず見かけないし、女性もごく少数。彼女は「皆が進学する場所ではないけれど」と前置きし、「人種や性別に、学歴や経済的な差は感じる」と話した。
 AAは完璧ではない。だが、これからも必要な状況にあることが分かった。


<大きく割れる米の世論>

 今、アメリカは大きく割れている。トランプ大統領支持派と反対派だ。
 トランプ氏の言動が大統領にふさわしくないという声も少なくない。34歳の女性は大統領の言動全てが頭にきてしょうがないという。「大統領はひどい偏見の持ち主でうそつき。白人以外への態度は見ていられない。女性を軽く見ている」。彼女は終始、強い口調で訴えるように語ってくれた。
 ほかの反対派の人たちも口をそろえて「次の中間選挙でトランプを止めなければいけない」と危機感を募らせていた。
 一方で、大胆な発言とアメリカファーストを唱える姿勢が、政治家に不信感を持っていた低所得層や農家の心をつかんでいる。トランプ支持という女性は「不法移民は税金を納めておらず、アメリカ人の雇用を奪っている」と主張した。
 11月の中間選挙に向けて、これから両派の議論はさらに激しくなっていくだろう。選挙の結果が今後のアメリカ、世界に大きく影響してくることはほぼ間違いない。

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