一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

渡辺 早紀  (上田高校1年・小諸市)

LinkIcon前へ‥‥次へLinkIcon

「国や歴史を大切にするアメリカ人」
 今回の派遣で私のアメリカ人に対する印象が少し変わった。初対面の人にもフレンドリーに接するというのが一番だったが、新たに「国や歴史を大切にしている」という印象が加わった。
 例えば9・11メモリアル博物館。米中枢同時テロから16年、メモリアル博物館完成から3年。私たちが訪れた日も国籍、年齢、性別が様々な人がこの事件の悲惨さを噛みしめていた。
ビルに飛行機が衝突する映像に、私は立ちすくんで動けなくなった。残された大きなコンクリートの柱もあった。亡くなった方たちの笑顔の写真が壁一面に貼られ、一人一人を感じた。展示はどれも、街並みは元に戻っても二度と戻らないあの日を忘れないという心の表れのように感じた。
 他にも、私たちが訪れたリンカーン記念堂のほかにも大統領の記念施設がある。リンカーン記念堂には夏休みということもあり、多くの人が訪れていた。また、連邦議会議事堂には各州から2体ずつ寄付された州を代表する人物像がある。像のモデルは大統領、科学者、アーティストなどの偉人で、各州で決められる。ヘレン・ケラーやトーマス・エジソンなどがあった。
 ニューヨークで高齢のトム・サハジャンさんに「アメリカ人は歴史を大切にしているようにみえるが、なぜか」と質問した。すると、興味深い言葉を教えてもらった。「過去を忘れる者は、それを繰り返す運命にある」という言葉だ。アメリカの哲学者であるジョージ・サンタヤーナの言葉だそうだ。私はこの言葉を聞き、納得した。アメリカ人が国や歴史を大切にしているのは、この考えが根本にあるからだと思った。


「意見を持って語り合う」
 米国の教育は「一人一人が意見を持つこと。人と共有して、より良い答えを導き出せる力を養うこと」を大切にしている。ワシントンで取材した女性ジャッキー・ダレスさんが教えてくれた。中学校でも「自分の興味があることを調べて発表し、クラスで討論して考えを深める」という。感想発表ぐらいしか経験がなかった私は驚いた。
 そんな米国の授業の積み重ねが垣間見えたのが、ガールスカウト、ボーイスカウトとの交流会だ。私たちは5、6人のグループに分かれた。私が好きな教科を聞くと、理科、数学といった返事で終わらず、会話がテンポよく進んだ。合間には必ず「なぜ英語が好きなの」「理科の何が苦手の原因?」と、理由や根拠を尋ねる質問が交わされた。ごく自然な会話なのに意見を述べ合っていて、互いの理解も深まり、とても面白かった。
 私が通う高校でも、2年生になると自分で課題を調べ、議論するようになる。人の意見を吸収して自分の考え、視野を広げよう。答えを見つける力を付けよう。あらためてそう思った米国滞在だった。 

LinkIcon前へ‥‥次へLinkIcon