一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

西川 茉那 (松本蟻ヶ崎高校2年・松本市)

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〈差別を受けた驚きと怒り〉
あなたは「ジャップ」と言われたことがあるだろうか。ジャップとは日本人を卑しめて言う差別用語である。多様な人種を受け入れているイメージの強いアメリカだが、その想像とは異なる文化がそこにはあった。滞在中に訪れた博物館や野球会場では、見知らぬヒスパニック系アメリカ人の男女から「ジャップ! ジャップ!」と繰り返し言われた。同様の体験をしたのは私だけではない。博物館の中で展示品を見学していた際やすれ違い狭間に「ジャップ、どけよ!」と言われた学生記者もいた。
このような体験した学生記者の多くから「まさか自分も差別されるとは思わなかった」、「自由な国というイメージが覆された」という意見が挙げられた。また私自身も、この現実に驚きや怒りを覚えた。同時に自らが初めてマイノリティという立場になり、他国で生活することが容易ではないことを知った。
しかしながらマイノリティが発生するのはアメリカに限ったことではない。日本に住む外国人にとっても、彼らはマイノリティという立場になるのである。私自身がアメリカに行きマイノリティという立場に立ったからこそ、新たな視点で日本の社会を見ることができた。
「ジャップ」という差別語で相手を呼ぶ彼らのように、私自身も日本に暮らす外国人を偏見のまなざしで見つめてしまったことがあるという反省の念に駆られた。
日本に暮らす外国人を異国から来た一人として見るのではなく日本に暮らす一員として共存するべきだと思う。アメリカが教えてくれたことは自分が国際人として生きていく上で他国の人も認め合い平等に暮らすことである。

〈人種差別に対する意識の違い〉
清閑さを保つワシントン。そんな身勝手なイメージを覆す事実に触れた。それは、この街にもまだ複雑な白人と黒人の差別が残っているということである。奴隷解放宣言を発し、人種差別の歴史において名を残した人物リンカーン。彼の記念館を訪れて取材を行った。実際にアメリカに住む白人と黒人が人種差別に対してどのような意識を抱いているのか尋ねた。
 黒人の多くは、お互いが認め合わない限り人種差別は解決できないと語った。中でも白人にいじめられた経験があるという20代の黒人男性は「私たちの人生は君たちが想像できないくらいに普通ではないのだ」と険しい表情で話した。一方で白人の多くは、今日も人種差別が起きていることを認めようとしなかった。50代の白人男性は「人種差別はない。最近の報道は間違っている」と語った。両者の平等な権利を学ぶ記念館に居合わせながらも、彼らの意識には大きな隔たりがあったのである。お互いに認め合い共存できる社会が理想の姿とするならば、その道のりは長い。
 以上の取材を通して、この問題を解決することは高校生の自分一人では難しいことであると思った。しかし多くの人が自分の狭いコミュニティを抜けだし、もっと広い世界で多様な出来事に関心を持とうとすればより良い社会が築くことができるのではないだろうか。

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