• 若狭留名

    取材報告

    〈多様性とは何か「移民の国」原点の地で取材〉
     「さまざまな国から集まる人とうまくやっていくにはどうすればよいか」。かつて米国に移住する人々の窓口だったエリス島で、私はこんな取材をした。フランス人女性のルイーズさん(17)は「笑顔で諦めず、交流することに挑戦していく」と答えてくれた。
     「自分はどういう存在?」「多様性って何?」。アメリカに滞在中、私はそんなことばかりを考えていた。ニューヨークでは本当に大勢の人が行き交っていた。すれ違う人の話す言語、肌の色は多様だ。そんな場所では、日本人というアイデンティティーを持っているはずの自分の存在が薄れてしまう気がした。
     私はこの夏から、約80カ国から集まる人々と暮らす軽井沢町の全寮制高校に在籍している。私はベトナム人のルームメート、アニー(15)に「違う国の人と交流するとき、何が必要か」と聞いた。彼女は「相手の背景を知り、違いを受け入れ尊重する。恥ずかしがらないことが大切」と答えた。
     異なるカルチャーを重んじている人同士で会話をすると、衝突することがある。彼らが笑っているとき、何が面白いのかわからないときがある。わかり合えなくて良い。無理に笑わなくても良い。けれども、相手の意見を軽蔑してはいけない。
     情報があふれると、自分の軸がないと流されてしまう。ただ、本来の自分を取り戻しさえすればよいわけでもない。自分のいる環境が変わることでアップデートされていくのは私なのだから。

    〈平等とは何か アファーマティブ・アクションを考える〉 
     アメリカの大学入試などで導入されている「アファーマティブ・アクション」をご存知だろうか。「積極的格差是正措置」のことで、黒人やヒスパニックなど社会的に不利な扱いを受けてきた人々を優先的に合格させ、学生の多様性を確保する取り組みのことだ。アメリカではハーバード大やノースカロライナ大など、多くの大学が導入しているが、この方策が白人・アジア人への逆差別へつながっているとアジア系団体が告発。アメリカ最高裁は今年6月、違憲判決を下した。
     プリンストン大学の社会学者の研究によると、アイビー・リーグ(プリンストン大やハーバード大など米東部の8私大)に入学するには、全米共通のSATと呼ばれるテスト(1600点満点)で、アジア系は1550点、白人は1410点が必要なのに対し、黒人は1100点で入学できるとのことだ。
     多様性を生み出すための制度は同時に、アジア人や白人の志願者が不利な位置に立つことでもある。今回の取材で、アメリカ人で黒人のミシェルさん(28)は「どの人種の人も平等に扱われるべきだ」と話した。アメリカ人で白人のサウリさん(17)は「いろいろなバイアス(偏見)があり、差別は起きてしまう。人を見た目だけで判断すべきでない」と述べた。ほかにも話を聞いたが、今回、アファーマティブ・アクションに賛成する人はいなかった。
     平等の捉え方はさまざまだ。アファーマティブ・アクションは、社会的に不利益を受けてきた人たちを優遇し、平等や多様性を保つために導入されてきた歴史的経緯があるものの、アジア人の視点から見れば平等には見えないし、こうした措置がかえって、人種に縛られた固定的な見方を人々に植え付けることにつながるのかもしれない。
     日本人そして、アジア人としてこの問題をどう捉えるべきか。常にアンテナを張って、考えを深めていきたい。

  • 若狭留名

    8/4滞在日記 感想

    「3割の収穫でいいんだよ。」取材1日目に聞いた言葉だ。取材をする際に構えすぎなくなくてもよいという意味だ。しかしやはり突然、見知らぬ人々に話しかけるのは緊張する。そんなとき、勇気をくれるのは、友達のめげずにふんばっている姿だ。自分の無力さが情けなくなる。そう思ったときは、また友達が勇気をくれるだろう。

  • 若狭留名

    8/3滞在日記 感想

    ニューヨーク。この街はあざやかだ。行き交う人々の話す言語が多様だ。そんな場所にいると、「私は何者なのか」と考えさせられる。なぜなら自分のアイデンティティーが多様性によって埋もれてしまうからだ。この世界では自分自身の軸を持っていないと生き残れないと感じた。さて、こんなにも広い世界でどう生きていこう。

  • 若狭留名

    8/2滞在日記 感想

    オズの魔法使い。わたしが小学4年生のときに学年全員で演じた劇の名前だ。国立アメリカ歴史博物館で、1939年公開の映画撮影の時に使われた赤い靴を見た。この靴は盗まれたことがあるそうだ。2008年から10年もの間見つかっていなかったものの、2018年に発見された。そんな大切なものを目の当たりにできた。

  • 若狭留名

    8/1滞在日記 感想

    スミソニアン。映画ナイトミュージアムで主人公が何度も発言していた名称だ。今日は国立航空宇宙博物館、国立自然史博物館を訪れた。どの展示も興味深く、約1時間の滞在時間は全てを見学するには足らない。午後はアーリントンでの交流会。同世代のアメリカ人の友達にインタビューできた。明日はどんな日になるだろう。

  • 若狭留名

    7/31滞在日記 感想

    連邦議事堂。英語でCapitolと呼ぶのだそう。ワシントンD.C.は首都でCapitalなので、瓜二つの発音を区別するのは難しい。リンカーン記念堂。映画ナイトミュージアムに登場していた、エイブラハム・リンカーンの巨大な像が設置されている。その迫力に思わず見入ってしまった。明日はどんな取材にしようか。

  • 若狭留名

    7/30滞在日記 感想

    初めての渡米。胸を躍らせながら羽田空港を出発しました。予想していたよりも、アメリカ人CAの方が多く飛行機に乗っているときから英語を話す機会がありとても嬉しかったです。ダレス空港到着後、大変楽しみにしていた入国審査がありました。正直、もっと英語で質問され、緊張した空気を味わいたかったです。

  • 若狭留名

    事前学習会 感想

    今日の事前学習会の開催を、とても楽しみにしていました。私は大半の派遣記者の皆さんとちがって、長野出身ではないので打ち解けられるかどきどきしていましたが、お互いを知れる、良い機会でした。取材をする日まで、自分の「関心の幅」を広げられるように事前リサーチをたくさんできるよう努めたいです。