一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

米川 沙彩 (丘中3年・塩尻市)


 ワシントン、ニューヨークは、世界中から富や優秀な人材が集中し、24時間休むことなく動き続ける「地球の心臓」というのが私のイメージだ。では逆に、米国人は日本にどんなイメージを持っているのか。
 最初に聞いた共同通信ワシントン支局で働くサラさんは「日本人はプライドがあり、気遣う。とても熱心に働く」と答えた。日本人の私としても、納得できた。だが、「電車の時間が正確」と言われた時は少し驚いた。日本人にとって電車やバスが時間通りにくることは当たり前。それが海外では違って受け止められていると気付かされた。
 楽しく交流したガールスカウトの同年代の子たちが口をそろえて言った日本のイメージは「アニメ」。リンジィーさん(15)は「アニメが大好き で、特に進撃の巨人やセーラームーン、ナルト、ジブリが好み」。隣にいたアンナさんも「ジブリ作品をたくさん知っている」と答えてくれた。
 やはり、日本の漫画やアニメ文化はアメリカに浸透していると実感できた。聞いてみないと分からない日本の良さもあらためて知ることができた。


 ニューヨークにある「トリュビュートWTCビジターセンター」は、2001年に起きた同時多発テロで亡くなられた方々のために造られた建物だ。
 私はここで、このテロで消防士だった息子さんを亡くしたリー・イエルピさんに会った。リーさんは「誰か殺されたら、その殺した人を簡単に嫌いになれる。でも、私は、人に話してその憎しみを消す。なぜなら、小さな憎しみが積み重なってこのようなことが起きたから」と語った。
 展示されている中に、「ハート・オブ・スチール」という置物があった。これは、その名の通り、鉄製のハート形の置物だが、真ん中にひびが入っている。私はこれを見て、2つに割れているな、と思った。イエルピさんは「ブロークン・ハート」といったん紹介してくれた。私は、テロの結果、だれかの恋や愛情が引き裂かれ、失われたことを表現しているように見えた。しかし、これに続けて、イエルピさんは「これは『割れつつあるだけではなく、割れたハートが直ってきている』とも見えるのです」と説明した。
 「きっとこれはこうだろう」。そんなふうに決め付けることが多い私自身に気づかされた。物事を多方面から見ることで、新しい物が見えてくるのだと、イエルピさんから学んだ。
 そして、最後イエルピさんからこんな言葉を頂いた。「未来は、みんなの手の中にある」。きっとこれは、私たちで未来を良くすることも悪くすることもできるんだというメッセージなんだと受け取った。この事件は何年たっても、多くのものを語りかけるであろうと確信した。