塚田 奈那 (飯田高2年・平谷村)
「エノラ・ゲイにどのような印象をもっていますか?」
日本人に質問をすれば、ほとんどの人が悪い印象を答えるだろう。1945年8月6日に広島に落とされた原子爆弾は大きな被害をだしたからだとは言うまでもない。では戦勝国のアメリカではどう思われているのだろうか。
ワシントンの国立航空宇宙博物館別館のエノラ・ゲイの展示場。実物を前に、来場者ツアーの若い男性ガイドは飛行ルートや米国の作戦を話した。最後の方で「日本でたくさんの被害者が出た」とだけ説明した。被害の悲惨さが詳しく説明されず、悲しい気持ちになった。
ほかの人に印象を聞いた。施設で6カ月間ガイドをしているエリック・プッシュマンさんは「米国人の多くは、核爆弾を落としたことは正しかったと考えている。予想でしかないが、それがなければ、多くのアメリカ兵が日本に攻め入って、両国とも死傷者はより多くなったと思うから」と言う。
一方、ホワイトハウス前の公園に、反核運動をする女性ピシオットさんがいた。1981年6月以来「反核爆弾」の看板を毎日掲げ続け、今年で33年目にもなったという。「彼女が言っていることはうそ」と話した周りの観光客もいた。でも、ひたすら反核を訴える姿に引かれた。
米国内でも核兵器については意見が分かれる。被害の悲惨さを忘れず、同じことが起きないようにしたい。一番恐ろしいことは核爆弾による被害の悲惨さを忘れて、もう一度同じことが起こってしまうことだ。次の世代にも伝え続けてまた恐ろしい事件が繰り返すことのないようにしたい。
世界平和には何が必要なのだろうか。この疑問を解決するためにニューヨークにある国際連合本部に訪れた。
施設内には、冷戦の象徴だったベルリンの壁の一部や、社会問題について議決や勧告を行う経済社会理事会の会議場、撤去された対人地雷の展示などがある。特に印象的だったのは、「エスコペターラ」と名付られた、ライフル銃をギターに改造した物の展示だ。作者はコロンビアのミュージシャンであり、平和運動家であるセサル・ロペスさん。武器を楽器に改造したので、平和の象徴として展示されていた。
世界を平和に保つために何が要るかを聞いた。私たちをガイドをしてくださった国連職員の高沢麻紀さん(38)は「安全・開発力・人権を全てを手に入れる事が必要だ。」という。また、外交官であるマック・ジョンさん(30)は「互いの文化を尊重し、思いやることが大切だ。」と強調した。
先進国と発展途上国、そんな線引きは関係なく、世界平和とは互いに技術を教え合ったり、過去の経験を伝えたり、さまざまな支え合いが大切だと感じた。