一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

滝沢 颯 (信大附属長野中2年・長野市)


 8月1日、アメリカ取材の最終日、報道の博物館「ニュージアム」に行った。
 映画で、患者をひどく扱っていた精神科病院に記者が潜入取材をする様子が描かれていた。状況が社会に知られて良かったと思ったが、患者のふりをする行動に疑問が湧き、知る権利や自由について取材した。
 来館していた英国人デビッド・タッカーさんは、過剰な調査について「越えてはいけない一線があり、バランスが重要」と答えた。「一線とは法か」と聞くと、「法が間違っていることもある。(米国の情報活動を明らかにした)エドワード・スノーデン氏のように、法を破っても私たちには役立つことはある」。
 一方、航空宇宙博物館別館にニューハンプシャー州から訪れていたコンピューターセキュリティの仕事をしているビルさんは「法律が一線である」とし、スノーデン氏にも「違法で、機密情報を開示してしまったことが良くない」と話してくれた。
 2人の意見に共通するのは、「越えてはいけない一線がある」ということだった。しかし、一線とは何かが、それぞれだった。
 個人的には、スノーデン氏のしたことは、多くの人にとって役に立ったと思う。しかし、その行為は違法。それとは逆に、明らかに悪いが違法ではない危険ドラッグのような例もある。そう考えると、法律のあり方が、とても大切になってくると思う。しっかり機能する法をつくることが、私たちの生活を良いものにしていく重要なキーワードであることは間違いない。


 僕は今回の渡米で、日本で話題の集団的自衛権の可否について、取材することを決めていました。現地で、「平和のあり方」について、何らかの答えを見つけることが目的でした。
 9.11のテロで亡くなった遺族が作る団体「9.11家族会」の会長リー・イエルピさんに、取材することができました。僕は、「日本の集団的自衛権の行使容認について、どう思うか?」と単刀直入に質問してみました。すると、「集団的自衛権」という言葉にピンときていない様子でした。アメリカでは、あまり知られていないんだな、と感じました。「アメリカはすべての兵器を捨てるべきか」という質問には、「イエス」と答えながらも「アメリカだけでなく、他国もそうしなければ難しい」と話してくれました。平和を実現するには、国際協調が重要なんだと改めて確認することができました。
 日米関係に詳しいマンスフィールド財団のライアン・シェイファーさんは、日本の集団的自衛権の可否について、「アメリカは日本を助けているので、日本もアメリカを助けるべき」と話しました。また、アメリカはすべての兵器を捨てるべきかについては「核兵器はやめるべきだが、通常兵器は必要」という意見でした。
 他の方にも聞きましたが、アメリカでは平和への意識が、日本に比べ薄いように感じました。敗戦国である日本とアイデンティティーの違いを感じました。また、自己主張や個を尊重するアメリカらしく、平和に対しても、自分の立場からの見方や意見が強いように感じ、和を大切にする日本人としては、自分勝手でバラバラな感じさえしました。しかし、そこが人種のるつぼであるアメリカであり、日本では理解しにくい感覚なのかもしれません。
 僕はあらためて、日本人の和の心や感性、国民みんなが、強く世界平和を望み、武器を捨てることを願っている、その意識の高さはすばらしいと思いました。最近、日本は、衰退しているなんて言われますが、とんでもないと思います!
 「日本は、世界に誇れる国である」と強く感じました。