桜井 美緒 (才教学園中3年・松本市)
私は昨年広島と長崎に行き、原爆関係の施設で戦争を学んだ。戦後69年となり、戦争経験者がどんどん減少している。その中で、若者の戦争についての知識不足を痛感した。
私はアメリカでの状況を知りたいと思い、自身の戦争経験を話してくれた日系2世テリー・シマさん(91)に戦争経験者の減少と若者の知識不足をどう思うか聞いた。
シマさんは「非常に悲しい現実です。けれども、だからこそ私はこのように話す。皆さんが明日をより良くしてくれることを信じて」と語った。その後は「とにかく悲しい…」と繰り返していた。私は話を聞きながら、うなずくことしかできなかった。戦争を経験したことのある人からのみ伝わってくることがあるのだと思った。
資料館などへ行き、過去について学ぶことも大切だが、直接語ってもらうことに勝ることはない。平和になった国で生まれ育った若者でも忘れてはいけない自国の過去がある。そして、その過去を学び、同じことを繰り返さないようにすることが私たちの世代の仕事だ。直に伝えられる人が少なくなってきた今、若者同士が刺激しあうことも大切だ。日本が平和であり続けるかは私たちにかかっている。
私は以前、アメリカ・ニューヨークにある障害者のためのサマーキャンプでボランティア活動を1週間したことがある。そこには大勢の生徒が同じくボランティアとして参加していた。大人顔負けの仕事をしながらも皆非常に楽しそうだった。ここで私は、なぜこんなにも多くの中高生が夏休みを1カ月けずってまでボランティア活動を行うのだろう、と疑問に思った。
調べた結果分かったことは、現在アメリカの多くの大学が入学する生徒を選抜するにあたって、筆記試験の結果だけでなく、参加してきた活動も評価するようになったということだ。これによりボランティア等の社会活動に参加する若者が増えた。しかし、ボランティアというのは本来自発的な活動であるべきもので、この状況は良いことなのだろうか。
アメリカ人はどのように考えているか知りたくて私は取材をした。元海兵隊のジェームス・ケンドルさんは「若者が社会に貢献する素晴らしい機会となっている。多くの生徒たちにこれからもたくさんの活動に参加してほしい」と語った。また、ジェームスさんには私たちと同年代の子供がいる。父親としての意見をきくと「ティーンエイジャーは非常に自己中心的になってしまう年頃である。例え大学入学のためだとしても、この時期に他人のために働くことは重要な経験となるだろう」と話した。
それに比べ日本はどうだろうか。中高生といえば部活動や塾、宿題に追われる日々。ボランティア活動をやる暇があるならば、ゲームやパソコンに時間を使いたい人がほとんどだろう。日本の若者はこのままでいいのだろうか。アメリカとすべて同じでなくとも、日本もこのような政策と行った方がよいのではないか、と私は今回の派遣を通して思った。