一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

登里 祥伍 (開田中3年・木曽町)


 アメリカでは、憲法で銃を所有する権利を認めている。独立戦争時、アメリカの農民たちは自分たちで銃を手に取りイギリスからの独立を果たした。 だが、銃による殺傷事件が多く発生している。僕たちが訪れたワシントンでも、昨年9月に軍施設で海軍兵士が銃を乱射し、少なくとも13人が死亡した事件があった。銃の所持や規制をどう思うのか、ワシントンで取材した。
 ガールスカウトとの交流でお世話になったベスト加島聡子さんの夫リチャードさんは銃所持に否定的だ。銃は持つべきではないとし、「時代は変わった。特別な場合以外、銃は危険な存在でしかない」と言った。
 保護者の1人ケンパー・ゲイさんは「銃は持つべきだ。憲法で認められている」と肯定した。ただし「銃を持つには、ライセンスが必要だし、1回で何連射もできるような強力すぎる銃を持つ必要はない」とも話した。
 「意見は二極化している」。夕食で会ったアメリカ軍海兵隊中佐ジェームズ・ケンドル氏の言葉が心に残った。保有賛成派は主に全米ライフル協会
(NRA)メンバーで、あらゆる銃を保持してかまわないと主張し、反対派はどんな場合であっても持たないよう訴えているという。NRAメンバーだが、協会の意見には賛同できないとした。また、犯罪の内容は多岐に及ぶが犯罪が多いシカゴでは銃の規制が厳しいという。しかし、犯罪率は銃規制前と大きな違いは無いらしい。この話の中で、銃は持つべきか否かケンドル氏ははっきりとは言わなかった。
 はっきりとした答えが出しにくい、また出せないところに命が関わる問題の難しさがある。ガールスカウトの少女も「はっきりとした意見は持てない」と言った。今後、賛成反対双方の意見を聞きあい調和していくことが必要だ。
 また、若い世代がそれぞれの意見を持ち、その意見を交し合うことは、日本にも必要なことだと思うので、自分も周りに学び考えを深めていきたい。


 アメリカの人気スポーツといえば野球が思い浮かぶ。今回の訪問でもメジャーリーグの試合を観戦したが、今年ブラジルでワールドカップ(W杯)が開かれたサッカーはどうなのか。アメリカでサッカー人気はそれほど高くはないという印象だったが、実際に現地の人はどう思っているのか。ニューヨーク、ワシントンで取材した。
 アメリカ代表は北中米カリブ海の予選を1位で突破し、大会ではベスト16という素晴らしい成績を残した。米国内の視聴率は非常に高く、パブリックビューイングにも多くの人が詰め掛けたようだ。ニューヨークではサッカーのユニホームを着て街を歩いている人を何人か見かける程度だった。しかし、共同通信社のニューヨーク支局の方は「今まではあまりメジャーではなかったが、W杯での活躍を機に盛り上がるかもしれない」と話していた。
 その兆しを少しずつ感じたのがワシントンでの取材だ。ホワイトハウス前で質問をしたエドウィン・パーシヤードさんは「ブラジル大会も見たよ。好きな選手は彼らだよ」と数人の名前を挙げた。アメリカプロリーグの新チームについても話し、「イチオシの選手」も教えてくれた。
 さらに、ガールスカウトとの交流会では、サッカーをしているというメンバーと話しができた。アメリカで女子サッカーは、男子サッカーよりもメジャーで、国際大会で何度も優勝している強豪国だ。彼女も「W杯は見たよ。アメリカ代表を応援している」と明るく答えてくれた。好きな選手を教えてくれたりと、アメリカでサッカーをしている同年代と話ができたことはとても新鮮だった。
 宿泊したホテルでは、アメリカのプロサッカーリーグ「MLS」(メジャーリーグサッカー)の試合中継も見ることができた。今回の取材を通じアメリカでは今、サッカーは少しずつだが人気が出てきている―そう感じることができた。