一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

南河 凜 (依田窪南部中2年・長和町)


 アメリカでなにより私が強く感じたのは、どこでもいつでも音楽が聞こえてきたことだ。公園でギター片手に歌う人、美術館前で楽器を演奏している人、鼻歌交じりに買い物をしている人…。周囲はそれを不思議だとも変だと思わず過ごしていた。受け入れているのだ。
 日本では人並み外れた行動をすることに抵抗がある人が多いような気がする。同じような人、ことに安心感を抱き、他人にどう見られているかを気にする。それに比べて、多民族国家のアメリカはいろいろな人がいるのが当たり前で、自分と違った人やことに慣れている。他人の言動が気にならない、他人にどう思われているのかも気にしないように見えた。
 ニューヨーク・セントラルパークで歌っている人が「Everybody!」と呼び掛けたら、通りがかりの人が歌い始めた。日本で見られない光景に驚き、音楽について8人に取材した。
 アナ・マイティンさん(70)は「ディズニー音楽を聞くと、6歳のころを思い出す」。ベンさん(56)は「音楽は心の平穏をもたらす」と言った。好きな音楽は、4人が「ゴスペル」「キリスト教の音楽」と答えた。私は気付いた。日ごろ教会で歌っていれば、「歌おう」と言われて躊躇(ちゅうちょ)しないのでは、と。
 ワシントンで出会った教会歌唱隊の経験があるクリス・ペリーさん(59)は「音楽は楽しい、幸せ、踊りたい、歌いたいというメッセージを送ってくれる。それは世界共通」。その通りだと思う。感じ方は日本人も変わらないが、感じた後の行動が違う。いたるところで音楽を楽しむ人々から、そんな国民性を感じた。


 私のアメリカの印象。さまざまな民族が暮らしている。食べ物は何でも大きい。陽気な人が多い。ほかにもたくさんある。
 日本はどんな国だろう?意外にも思い浮かばない。アメリカ人に日本について聞いた。「食事や娯楽など日本の文化がアメリカにもたらす影響はたくさんある」と話したのはワシントン在住のビルさん(31)。「東京には行ってみたい。だけど、ニューヨークでもいろいろ圧倒されてしまうので、東京はもっと圧倒されてしまいそう。だから北海道に行ってみたい」という。
 また、沢山の人が「サービスが素晴らしい」と言った。「「礼儀正しい」「アメリカなら1週間かかることを日本なら2、3人でやってくれる」という声もあった。
 ジャスティンくん(10)に「日本ってどんな国?」と聞くと、ひと言「Pretty(プリティー)」。何がどうプリティーなのか。大きなアメリカ大陸に比べ、小さい日本列島を指しているのか。日本の文化や景観を指してプリティーなのか。疑問が残った。
 話を聞いた人は訪れたことはないが、日本に良い印象を持っているようだった。では、日本に住んだことのある人はどうか。ニュースや写真、記事関連のデータを日本の新聞社などに配信している共同通信社で話を聞いた。ワシントン支局のサラ・アンポルスクさんに「アメリカ人に比べて『日本人のここがすごい』と思うことは?」と聞いた。「積極的に働いてやりたいことを熱心にやるところがすごいと思う」と答えた。
 辛口な意見もあった。ニューヨーク支局長の船津さんは「質問しない」「困っている方を見ても見なかったフリをする人がいる」と指摘。確かに。これからの未来、私たち若者が日本をつくっていく柱となっていくだろう。日本の良いところは他国に発信し、他国の良いところは受信できるアンテナのような国にしていきたい。