市岡 恵梨 (飯田風越高2年・松川町)
マンスフィールド財団はアジアと米国の人々の間で相互理解と協力関係を促進するために設立された。東日本大震災の原発事故をきっかけに、専門家が進めた日米原子力ワーキンググループの研究にも協力した。
日本の原子力について、財団理事長のフランク・ジャヌージさんは「個人的な意見としてはエネルギーの安定を確保する上では非常に大切。しかし、原子力は事故が起きれば人間の命という犠牲を伴う。使うならば規制し、検査されなければならない。そしてどのように安全を確保するのか日米で考え ていくことが必要だ」と語った。
また、「理屈では必要と思うが、ハートでは必要ないと思っている人が日本では非常に多い」と語った。原発を稼働させるべきかについて、明確なイエス、ノーは示さなかった。
米国は今も原発に頼っているが、この日米原子力ワーキンググループは原子力推進でも反対でもない。東日本大震災以降、日本に襲いかかった問題に真摯(しんし)に向き合おうとする熱意をジャヌージさんから感じられた。原子力問題も私たち「若い世代」が鍵になる。どうしていくべきか、もっと自分自身でも考え続けていかなければならないと決意した瞬間だった。
今回アメリカで訪れた場所の多くは、荷物検査がかかせなかった。国連やトリビュートWTCビジターセンターはもちろんのこと、精密なX線検査が行われており、驚いたのは美術館や博物館までも荷物検査を行っていたことである。ペットボトルを持ち込ませないといった規制について、一人ひとりに時間をかけて行われていた。ここまで検査が厳しくなったのも2001年9月11日の中枢同時テロ以降だという。
われわれ日本人からすると非常に手間のかかるものだったが、あらためて日本の安全さを実感し、このような検査があるからこそ、私たちは安心して取材ができたのだと感じた。
自由の国、アメリカ。荷物検査が厳しいという面から見ると不自由に感じてしまうが、やはり「人」の面から見ると日本人とは比べものにならないほど自由だった。共同通信ニューヨーク支局長の船津靖さんは「日本人は面識のない人、例えば電車で隣になった人とは会話をしない」「イライラして急いでいる人が多い」「日本は特殊な国である」と語った。日本人の私からは考えたことさえなかったが、アメリカ人から見た日本人は奥ゆかしい反面、開放的でないことに気付かされた。ニューヨークの街も、取材したアメリカ市民も、出会った人全員がウェルカムな姿勢で受け入れてくれ、そこにアメリカの自由と温かさを感じることができた。遠くに聳(そび)え立つ自由の女神がアメリカらしさを物語っていた。