一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

宮沢 奈々 (飯田高校 高1・飯田市)

9.11に学ぶ本当の力

元消防士のブレンダ・バークマンさん.JPG元消防士のブレンダ・バークマンさん 「本当の力とは、権力やお金、武器ではなく、心の深みにある平和に根ざすものなのです」
9/11トリビュートセンターの取材で、あの力強い話を聞いている時、私はふと、この言葉を思い出した。この言葉を唱えたのは、有名なベトナム人の禅僧で、私は以前に彼が書いた本を読んでいた。その禅僧、ティク・ナット・ハン、彼の言葉を理解した瞬間だった。
2001年9月11日、テロリストがアメリカの街を攻撃した。たくさんの人が逃げ場を失い、数秒のうちに建物が崩壊した。そんな中、消防士たちは1日中尊い命を探し続けた。自分の身を犠牲にしてまでも働き続けるその精神に私は感動した。
今、ニューヨークの街は原型を取り戻している。これは、たくさんの人の心の優しさがあったからだと思う。話をしてくださった元消防士のリー・イエルピさんは、こう言っていた。「憎しみの心を持ってはならない」と。もし私ならば、憎んでしまっていたかもしれない。しかし、実際にこの悲劇を経験された方々は、前向きで気持ちが強い方々が多いと思った。平和を築く人々の心の中にはきっと、ティク・ナット・ハンが唱えたような、あの教えが自然と備わっているのかもしれない。
ならば私達は何をしなければならないか。それは、この悲劇を、そして人々の心の優しさを後世に「伝える」ということだと、私は思う。

世界で働く日本人

アイリーンヒラノさんを取材.jpgアイリーンヒラノさんを取材木下支局長.jpg木下支局長ニュージアムで新聞の一面を見る.JPGニュージアムで新聞の一面を見る 日系3世のアイリーンヒラノさんのお話をお聞きしている時、彼女の周りには数名の日本人がいた。
 木下英臣さんは私と同じ飯田高校の出身だ。卒業後、学習院大学の法学部を経て共同通信社に入社し、9年間政治部で働いた。その後、ワシントン支局にて国防総省などの取材をし、一度東京に戻った。そして、去年からワシントン支局の支局長として仕事をされている。
そんな木下さんは、日本に帰省するとよく、他国の仕事仲間を日本の居酒屋に招待するという。私は異文化を知る良いきっかけになると思った。素敵な英語で仕事の話やフリートークを繰り広げる彼に、私は憧れた。飯田高校の先輩の中には、このように世界で活躍している方もいるんだとあらためて感じた。
2人目は、アイリーンヒラノさんの通訳者だった、岡崎詩織さんである。彼女は、アメリカで生まれて、今、米日カウンシルの広報を担当しているそうだ。彼女の話を聞いていると、充実した生活を想像することができた。
そんな岡崎さんが私たちに話をしてくださっている時、アイリーンさんに通訳をしている男性がいた。彼の名前は田中心一郎さん。国際基督教大学(東京都三鷹市)出身の方だ。今は、カリフォルニア州のモントレー国際大学院で、研究に励まれている。
私は、2人の通訳さんを見て、尊敬し、とても羨ましく思った。私もあんな風に英語でコミュニケーションを取ってみたい、英語を使って、自分の気持ちや連絡事項などを伝えてみたい…。今回の取材で自分に対しての課題も見つけることができた。
アイリーンヒラノさんは、最後にこう言った。
「若い人たちの力で、日本とアメリカの関係を強化していってほしい」
まず私たちは、身近にも世界に出て活躍されている方々がいるということを知らなければならないと思う。そこから何かを感じ、生かしていかなければならない。そうすることで自分の世界を広げることができる。そして、自分の歩む道を大きく広げ、世界を見ることができる大きな心の持ち主になりたい。