松本 千里 (高山中学校 中3・高山村)
戦争という狂気
国立航空宇宙博物館はライト兄弟の飛行機からスペースシャトルまで展示している博物館です。飛行機の歴史とは戦争の技術の進歩-。そんな事実を表すかのように戦闘機の多さに驚きます。
各国の戦闘機のまん中にひときわ大きい重厚な機体がエノラ・ゲイです。B29の中でも原爆を落とした機体をわざわざ展示するのは、見る者にその意味を考えさせるためなのでしょう。
そして、日本のゼロ戦。限界まで装甲を薄くして武器を軽量化した当時、世界一の機動性能を獲得した機体です。
日本人の勤勉さと技術の吸収と展開の素晴らしさの例ではありますが、機能が他国機より優れている間はともかく、機体が軽いことは脆いことでもあるので搭乗者の命と引き換えにして得た性能なのかなと思いました。そして、ゼロ戦の脇にある「桜花」は帰りの燃料を積めない特攻機です。
当時の相手国が恐れたのはこのような狂気だったのでしょう。そして一度に何万という殺傷能力がある原爆を落としたのも狂気だと思います。戦争とは、狂気と狂気のぶつかり合いだと思い知らされます。
今回博物館で見た戦闘機の実物は、戦争の記憶を私たちに伝えてくれるものでした。
また、当時の誇りと技術の集大成である機体は美しくもあります。しかし同時に、こうした戦争のハードである兵器よりも、ソフトである人間の平和を求める心や、大局を冷静に考えられる力がより重要で、人間がハードの一部になってはいけないのだと思いました。
今回の旅の中で、アメリカと日本の違いも多く目にしましたが、同じところもたくさんありました。それぞれの国がそれぞれの誇りと痛みを理解してゆくことで戦争という狂気は避けられるのだと思います。
スーパーで見た果物の日米比較
ワシントンDCに着いた日、ホテル近くの「SAFEWAY」というスーパーマーケットに行きました。野菜や果物は山積みで売られている私の家はリンゴとブドウを栽培しているので、アメリカでこうした果物がどう売られているのか興味があった訪問先です。
店内ではORGANIC(有機栽培)の文字が目につきます。BSE問題や遺伝子組み換え作物、大規模栽培で使われる農薬の問題から、食の安全についての意識が高いのでしょうか。
果物は山積みで売られていました。ブドウは「Seedless Table Grape」と書かれた赤、緑の2種、リンゴは「Granny Smith」と書かれた青リンゴだけで、ほとんどが1ポンド(454グラム)単位で売られ、有機栽培ブドウは3ドル99セントでした。
ワシントンDCのスーパーで買い物客にインタビュー 食べてみると、ブドウは非常に甘みが強いものの、香りはなく、ポリっとした食感。リンゴは逆に酸っぱくてシャリシャリしています。焼いてアップルパイにすることが多いそうです。
摘粒の跡がないブドウや着色の心配のない青リンゴを見ると、大規模に生産でき、病気や害虫に強い品種だけが売られているのかもしれません。
正直な感想としては、バリエーションが少なく、日本の方がいろいろな味が楽しめる印象です。生食よりジュースやドライフルーツなどの加工品の方が多くの種類が売られていました。
さらに巨峰のような香りはワインに合わず、あまり好まれないそうです。
この取材を通じて、私は日本のリンゴやブドウは独自の文化だと感じました。甘み、酸味、香りのバランス。そして美しさを追求してきたことで、今の日本の果物があると思います。日本人らしい努力の結晶です。携帯電話のようにガラパゴスと言われるかもしれませんが、感性と知恵を五感に訴えるものは文化であり、誇るべきだと思います。おいしいものはやっぱりおいしいのですから。
日本の果物の素晴らしさが世界中にもっと知られるようになってほしいと思います。