一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

赤岡あずみ (野沢北高校 高2・佐久市)

トリビュートWTCビジターセンターについて

共同通信ニューヨーク支局を取材.JPG共同通信ニューヨーク支局を取材テロで息子を亡くした体験を話してくれたイエルピさんに質問.jpgテロで息子を亡くした体験を話してくれたイエルピさんに質問行方不明者を捜す張り紙が貼られた壁.jpg行方不明者を捜す張り紙が貼られた壁再建の進むグラウンドゼロ近くの街並み.jpg再建の進むグラウンドゼロ近くの街並み


 5日目に訪れたニューヨークのトリビュートWTCビジターセンターは、9・11で亡くなった方の遺族が、米同時多発テロが発生した当時、何が起こったのかを知ってもらうために運営している施設です。
私がそこで見たものは、曲がった鉄骨やスプーン、フォーク、ボロボロになった消防士の服、行方不明になった人を捜す写真入りの張り紙など、見ていて心が痛むものばかりでした。
当時のWTCはニューヨーカーにとって愛着のある場所であっただけに、テロによる崩壊は相当なショックだったのだろうとあらためて思います。
私たちはテロ現場で救助活動に当たったブレンダバークマンさんのお話を聞きました。彼女は救助活動を通じて250人もの仲間を失い、それでも働き続けなくはならなくてとてもつらかったと語ってくれました。
皆さんも想像してみてください。多くの友人や家族を突然失っても、悲しみに暮れる暇もなく働き続けなくてはならない辛さを。
世界にはこういった悲しみに追われる人たちがまだ何人もいます。今回ブレンダさんのお話を聞いて、私はその人たちを悲しみから救いたいと強く思いました。
戦争のない平和な世界を作るのも、戦争の絶えない悲しみの世界を作るのも、次世代を担う私達次第です。私は戦争のない平和な世界を作りたいです。

アメリカ人の人柄について

 ようやくアメリカでの生活にも慣れたころ、現地のガールスカウトとの交流にあたって私にはいくつかの心配事がありました。それは話しかけられても曖昧に笑って誤魔化してしまわないだろうか、一緒に来た日本の仲間とばかり話してしまわないだろうか、というものでした。
しかし、彼女たちに会った途端にそんな心配は空のどこかへ。彼女たちの積極的で明るい性格や素敵な笑顔につられ、気付いたら一緒に水風船で遊んだり、ダンスをしたりしていました。
私は今まで、アメリカ人は素っ気なく、がさつな人たちばかりだと思っていました。しかし、実際アメリカに行って現地の方と関わってみると、初めて会った人にも気軽に挨拶をしてくれたり、レディファーストでドアを押さえてくれたりするなど、日本ではなかなか見られない光景に何度も遭遇しました。
私が地下鉄に乗った時、始めから電車に乗っていた年輩の男性と途中から乗ってきた若い女性が親しげに会話をしている光景も目にしました。
ガールスカウトとの交流や街中での光景によって、私のアメリカ人に対する印象は変わり、アメリカがますます好きになりました。そしてもっと英語を学んでいつかアメリカ人の友達をたくさんつくりたいと思いました。

旅行を終えて

ニューヨークで記念撮影.JPGニューヨークで記念撮影 今回の学生派遣事業は、一般旅行または修学旅行でさえも実現が難しいと思われる位中身が濃く、充実した物ばかりでした。今回私達が観てきたアメリカは大国のほんの一部分にすぎませんが、その限られた中からでも大変多くの事を知る事が出来ました。
取材先で見聞した事は、私が今まで漠然と捉えてきた事柄の細部を新たに知る事が出来るものばかりでした。また取材を通して新たな知識を得たのはもちろんの事、私達が普段触れるメディアだけではわからない、話し手の表情、声の抑揚、その場の雰囲気など、相手と向き合って話を聞かなければ伝わって来ない物も多く感じ取る事ができたと思います。
 知識を得た他に、私の中で様々な気持ちの変化もありました。その中で、最も大きな変化を2つ紹介します。
 一つ目は自分の将来についてです。今まで、正直自分の将来の夢に自信が持てずにいました。けれども今回訪れた国連本部やトリビュートWTCビジターセンター、共同通信などで、私にとってとても興味深い話を沢山聞かせていただき、私が一生を懸けてでもやりたい事は、やはり世界の平和をつくる事なのだなと実感し、その道に進む事を固く決意する事が出来ました。また、現地で面会したアメリカ在住の日本人の方々から、進路に関するアドバイスなどを沢山頂いたことで、世界の平和をつくるためには様々な職業がある事、そしてそこに辿り着くまでの道は一つではないということに気付きました。
 これから進路選択について本格的に考えてゆかなければならない中で、この事は非常に貴重なものとなりました。
 二つ目はアメリカ人の人間性から学んだことです。私は今まで、アメリカ人はガサツで冷たい人種であるという偏見を持っていました。そんな中バスでの移動中、物乞いをするホームレスの人に通りすがりの通行人がサッとお金を手渡し、笑顔で軽く挨拶を交わすという場面を目撃しました。私自身も、エレベーターや街中などでアメリカ人に笑顔で挨拶をされた事がしばしばありました。私は驚きました。日本にいる時ですらなかなか遭遇しない場面に、まさかアメリカで遭遇出来るとは思ってもいなかったからです。もちろん全てのアメリカ人を見た訳ではなくて、中には私が想像していた様な人達も少なからずいるはずです。けれども今回、今まで知らなかったアメリカ人の温かい一面に触れることが出来て、心が温まりました。
 この事から、私はもっと他人に対して優しい心を持って接しようと思いました。私も含め、日本人は困っている人を見かけても見て見ぬ振りをしがちですが、これからは街中で困っている人がいたら、迷わずに声を掛けられるような人間になりたいと思いました。
 最後にこの派遣事業を企画、遂行してくださったスタッフの方々、現地で私達の安全や体調に気を遣ってくださった引率の方々に深く感謝します。そして一週間行動を共にした19人の仲間。わずか一週間とは思えないほど仲が深まり、ふざけた話をした事もあれば、将来について真剣な話をした事もありました。思わぬハプニングに出くわした時も協力して乗り越えました。出逢えて良かったと思える仲間です。本当にありがとう。
 この一週間で得たものは間違いなく私の人生の糧となるでしょう。