一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

高橋 紡花  (長野工業高3年・長野市)

まるで、

DSC_0052.JPG少年の夢を詰め込んだおもちゃ箱の中に迷い込んだようだった。教室20個分はあろうかという広さの中に、ところ狭しと何十もの機体が並んでいる。
更に、3階程の高さの吹き抜け構造の天井には、飛んでいるままのような姿で飛行機やヘリコプターが展示されていて、彼らの歴史を感じる事ができた。
その中に、コンコルドというマッハ2.0すなわち、音速を超えた旅客機が展示されていた。細長いシャープなデザインの飛行機だ。
コンコルドはイギリスとフランスによって開発されたが、実は開発段階で黒字が見込まれないことが分かっていた。しかし両国は大金をつぎ込んだ研究を完成させないわけにはいかないとして、コンコルドを完成させた。結果やはり黒字は出ずに、運行を停止した。
あまり活躍しなかったコンコルドではあるが、超音速旅客機としては唯一の民間旅客機であったということで、人間の歴史の1ページに名を連ねることは間違いないだろう。
しかし、ここにはコンコルドをこえる早さの飛行機がある。
SR-71通称、ブラックバード。実用ジェット機としては最高速度記録を打ち出した超高速偵察機である。そしてさらにすごいことに、このブラックバード、レーダーから隠れることができる。完璧ではなく、打ち落とされそうになった事も何度かあるらしいが、那覇空港のレーダーで一時認識できなくなったこともあるほどのステルス性を持ち合わせていた。
その他にも、潜水艦の中で10分で組み立てて飛ばすはずが、戦争が終わり一度も使われなかった飛行機など、たくさんの飛行機とそれに伴った歴史があり、人間の空と、戦争と、宇宙の歴史を感じられた。
時代も移ろい、環境が問題になっている今、立ち止まって空を見上げる人も少ないように思う。かつて、人類が空を飛ぶことが可能であると証明したライトフライヤーを作った二人の少年は、空をみながら一体何を思ったのか。
宇宙航空博物館を見て、もう一度童心に戻って空に思いを馳せてみようと思った。

人気の大統領は?

日本のお土産屋さんで、野田総理の顔がずらりと並ぶ商品棚を見たことがあるだろうか?
少なくとも、私はない。
アメリカのお土産屋さんの商品棚にはオバマ大統領のお土産品がずらりと並んでいた。日本人の感性からすると、驚きであるがアメリカではセオドア・ルーズベルト大統領の名を持つテディベアが多くいられているし、ジョン・F・ケネディ空港があるなど、様々な場面で大統領を大切にしている様子が伺える。
DSC_0545.JPGその中でも、様々な世論調査で、偉大な大統領1位に輝いている大統領がいる。
16代大統領、エイブラハム・リンカーンだ。彼はインディアン虐殺や南北戦争の終結、奴隷解放宣言などで知られている。
そんな彼の偉業を記念して建てられたのが、リンカーン記念館である。外はドリス式のパルテノン神殿のようなデザインで、円柱上部のエンタブラチュアには、彼がなくなるまでに合衆国に加盟した36州の名が刻まれている。
中はイオニア式の柱が並び、正面には23個の大理石を用いた5.3mのリンカーンが椅子に凛々しい姿で腰掛けていた。
入って左の壁にはジョン・ウィクリフの文から様々な人に引用されてきたとされる有名な一節、『人民の、人民による、人民のための政治』を含む全272語のゲティスバーグ演説が全文書き込まれていた。
そんなリンカーン記念館は、私たちがいった日も沢山の人で賑わい、彼の人気を垣間見ることができた。
それにしても、最近の日本は政情が不安定である。いつか日本でも、みんなに愛される総理大臣が生まれ、今日本にある沢山の問題を解決してくれることを願うばかりである。

アメリカの建物

DSC_0311.JPGアメリカと日本の文化の相違は、空港を出たところから気がつく。
バスで街に繰り出して、真っ先に私の注意を引いたのは、歴史あるレンガ造の建築物である。日本では、文明開化の頃にレンガ造が入ってきたが、関東大震災で、地震大国日本にレンガ造は向かないと分かり、レンガ造はあまり見かけられない。
しかしアメリカでは、街の建築物の殆どがレンガ造である。レンガ造と言っても色は様々で、彩度の高い赤や、白やヒスイ色や、クリーム色、黒色など、たくさんの色に塗られているものから、レンガそのものの艶かしい媚茶まで、さまざまな色の建築物がある。
それぞれの家に百数十年の歴史があり、街は、懐古的且つ、生活感に溢れていた。特にフィラデルフィアでは、レンガ造の建築物には地下室があり、地下室の入り口や窓は道路の方に階段を掘って作られていた。冬季の寒さを凌ぐために、熱が上部にたまる仕組みを利用し、地下室をキッチンにして、地下で調理した熱気を上の階を温めるのに用いるという知恵には、感動した。
アメリカの街には、長い間人の住んでいる古き家屋でなければ出せない日本の街中のツーバイフォー(木造枠組壁工法)とは一線を画した重厚感がある。日本の古い木造建築の、どこか哀愁漂う雅な艶やかさや、侘び寂びな美しさとは、また違った重厚感だ。
そしてワシントンD.C.の街では、駅や記念館、博物館などが多く見られるが、その多くがギリシャのオーダーを模した、巨大建築物である。トスカナ式、ドリス式、イオニア式、イオニアモダン式、コリント式、コンポジット式など、沢山の種類が用いられているが、溝のないもの、あるはずのエンタシスの優雅な膨らみのないものなど、なんだかおかしな柱も見られた。入り口の高さは、パルテノン神殿ほどあり、内部も、2階から3階分の吹き抜け構造になっている。なんという迫力か、なんという重厚感か。
見たものの圧倒されるその大きさは、矢張りアメリカと日本の大きな違いだった。
建築を学ぶ一人の学生として、学問としてだけでなく、生活を営む一人の人間として、もっともっと外国の建築物を見てみたいと思った。