栗林 大地 (蟻ケ崎高1年・安曇野市)
エノラ・ゲイを見て
アメリカワシントンに到着してすぐに、太平洋戦争で使用された米軍の爆撃機エノラ・ゲイやスペースシャトルなどを見学するため、国立航空宇宙博物館別館を訪れました。ダレス空港の近くにあるこの博物館は正式名称をスティーブン・F・ヴドヴァー・ヘイジーセンターといい、歴史的価値の高い航空機や宇宙船が展示されていました。
館内は仕切り一つないかまぼこ型のドームで、隙間なく飛行機で埋め尽くされています。 なかには天井からつり下げられている飛行機もあり、まるで空を飛んでいるかのようでした。実際に燃料を入れれば今でも動くというので驚かされました。ガイドさんに連れられて見学していくと間もなくエノラ・ゲイが見えてきました。長さ30.2メートル、翼の全長43メートルにもなる機体は、当時の日本の戦闘機に比べるととても大きく、全体が銀色に輝いていて引きつけられるほど美しかったのですが、広島に原爆を落としたという兵器としての恐ろしさを知っている僕には、とても冷酷な輝きに見えました。
もう起こってしまった過去の過ちは変えられないけれど、このような展示を通して戦争を風化させないようにしてほしいと思います。
フィラデルフィアにて
取材四日目は、映画ロッキーゆかりの美術館や独立記念館などを見学するために、バージニア州のフィラデルフィアを訪れました。中でも独立記念館は1749年に州議事堂として建設されて以来、アメリカの歴史に欠かせない数々の出来事が起きてきた場所で、独立宣書が署名されたことでも有名です。
取材中は、遠くからしか眺めることができなかったのですが、このアメリカの原点ともいえる建物をぜひ近くから見てみたいと思いました。「何とかならないでしょうか」と、この取材旅行を取り仕切っている北原秀穂さんに相談してみたところ、「朝早くに大人と一緒に行くなら」という約束で独立記念館に行けることになりました。
翌日の午前六時頃、有志数名と北原さんで編成された特別取材班はホテルを出発。昼間とは打って変わって観光客のいない道路を五分ほど歩き、ついに念願の独立記念館につきました。開館にはまだ早いというのに、想像以上の警備員の多さに驚きつつ、建物の周りを一周しました。僕らが宿泊したホテルと同じくらいか、もしかしたらそれより小さいくらいの建物に、かつてアメリカ各州の代表たちが集まり大陸会議を開いていたのかと思うと、とても清々しくも感動的な気持ちになりました。
今や世界の中心といえるアメリカも、こんなに小さいところからスタートしたのです。ならば僕たちだって、もっと頑張って二十一世紀の日本を創っていかなければいけないという気持ちになりました。