一般社団法人 長野県新聞販売従業員共済厚生会

取材報告

アルッガマゲ 未美利  (伊那北高2年・駒ケ根市)

国連の役割

国連の安全保障理事会の会議場に足を踏み入れる。目に入るのは大きな油彩壁画だ。中央には黒い灰の中から飛び立つ不死鳥が描かれ、第二次世界大戦の闇から抜け出し再建していく世界の姿を表わしている。穀物を分け合う人々は世界の平等を象徴し、国連の世界平和の精神が感じられる。
DSC_0869.JPG理事会は拒否権を持つ五つの常任理事国と、十の非常任理事国から成り、世界の平和と安全の維持に関する案件が扱われる。紛争やテロ事件、核兵器開発などといった問題に対し、安保理で採択された決議は、国連加盟国に対して法的拘束力を持つ。近年では、ひとつの問題に多くの国が絡み合う複雑な構造になってきている。その中で、具体的な働きかけの出来る安保理が果たす役割はさらに増していくだろう。
国連の中で日本は、どのように貢献していくことができるのだろうか。実際に戦争の苦しみを味わい、平和の大切さを学んだ国だからこそ、世界に発信できるメッセージがある。戦争の記憶を語り継いでいくことだけではなく、同じ苦しみを味わう人々を増やさないために、私たちの世代は行動を起こしていかなくてはならない。もっと多くの日本人が海外へ出て、国連などの場を通して世界中に核兵器廃絶や軍縮など、平和への訴えをしていくべきだと、安保理の議場に入って痛感した。

長丁場の米大統領選

 米大統領選の特徴としてあげられるのは選挙期間が長いという点だ。全体で一年半ほどある。この長い選挙期間中にオバマ選挙事務所で行われている活動は大きく分けて二つある。有権者登録を促す活動と、個別訪問だ。
 米大統領選では一八歳以上の市民であれば投票可能だが、日本のように年齢制限を満たしていれば誰でも投票できるわけではない。日本とは異なりアメリカには住民登録制度がないため、自動的に投票の通知が届くような仕組みが存在しないのだ。実際に投票するためには事前に有権者登録をしなくてはならない。有権者登録とは、自分がどの政党を支持するのかを記入するものだ。有権者登録の結果から、各候補者は選挙前の時点でおおよその支持率を把握することが出来る。しかし、登録の仕方がわからない、時間がない、などの理由で登録者数が少ないのが現状だ。これに対しオバマ選挙事務所では、スーパーやファストフード店など人が多く集まる場所に専用のブースを設置し、人々に有権者登録を呼びかけている。また、登録者が少ない人々の層にも特徴がある。たとえば、一八歳になったばかりの若者や、高齢者・身体障害者、貧困層、ヒスパニックなどといった人々だ。そのような人々に対しては、呼びかけを行う場所を工夫している。若者には大学キャンパス、高齢者には老人ホーム、また貧困層やヒスパニックには彼らが多く住む地域など。この活動によって、登録者数は確実に増加してきている。
DSC_0444.JPG 選挙期間中に行うもう一つの活動は個別訪問だ。日本では法律上禁止されているが、アメリカでは選挙期間中自由に行うことが出来る。選挙事務所のスタッフが一軒一軒家を回ってドアを叩き、その家の人と選挙についてゆっくりと話をする。スタッフの目的は、どうして自分はオバマを支持するのか、またどうしてあなたも支持すべきなのか、といった考えを相手に伝えることだ。共和党支持者の家では、玄関先で追い返されてしまうこともしばしばある。しかし彼らが心がけていることは、オバマに対する不満を含め相手の考えもしっかりと聞くこと。その中で自分との共通点を見つけ出したり、相手が置かれている状況に共感しながら親近感を得る。そして少しずつオバマ支持へと気持ちを傾けさせていくように話を進めるのだ。
 日本のテレビでは、大観衆を前にしての候補者演説など、米大統領選の華やかな表舞台ばかりを目にしてきたが、その裏側には地道な選挙活動があった。しかもその活動の成果が必ずしも獲得票数に結び付くかどうかはわからない。しかし、一年半に及ぶ選挙活動の中で候補者や選挙事務所のスタッフたちは、国民の考えを聞き入れることができる。またその考えを今後の選挙活動に活かしていくことも可能だ。こういった地道な選挙活動を勝ち抜いた候補者だからこそ、米大統領は絶大な支持を受けて政治を動かしていくことができるのだろう。